中高年者縦断調査
「縦断調査」とは、同一の調査対象を断続的に調査し、その変化を時系列で捉えることで、変化のタイミングや因果関係を分析する調査方法のことをいいます。厚生労働省は2005年10月末時点で、50歳から59歳だった男女を対象に、この「中高年者縦断調査」を現在も続けています。
調査項目は、家族の状況、健康の状況、就業の状況、住居・家計の状況、社会活動への参加状況など多岐にわたり、高齢者対策など厚生労働行政の企画立案や実施のための基礎資料を得ることを目的としています。
厚生労働省のホームページで公表されている最新の結果は第19回で、その時点での対象者の年齢は68~77歳です。
就業状況について、この18年間で、「正社員」の割合は、第1回の38.7%から、第19回は2.4%と大きく減少しています。「パート・アルバイト」については、第1回17.0%から第19回は13.2%、「自営業主・家族従業者」は15.2%から11.5%と、正社員ほどの減少にはなっていませんでした。
また、同じ年齢で比較が可能な第11回の68、69歳よりも、第19回の68、69歳の方が男女ともに「仕事をしている者」の割合が高いのは、現在の定年延長・廃止の施策が進んでいることも一因となっているのでしょう。
仕事をしている理由については、第19回で一番高いのは、男女ともに「健康を維持するため」で、次いで男性は「現在の生活費のため」、女性は「社会とのつながりを維持したいから」となっています。
この調査の結果を見ると、対象者の最高年齢である77歳でも仕事をしている人が多いことに驚きます。経済的理由のために働いている人もいますが、理由の一番にあった健康維持を目的としている人も多く、働くことで人と関りを持つことは、脳の活性化にもつながります。
今後も、退職後の時間をどのように過ごすかは、多くの人にとって重要なテーマになっていくでしょう。
2025年10月28日 12:54