「夏季休工」の導入
今年の夏は例年以上の猛暑となり、今後もこうした異常な猛暑が続く可能性があるため、屋外で働く労働者の健康や安全に関する対策は、企業にとって喫緊の課題となっています。こうした状況を受け、国土交通省は「夏季休工」制度の試行を来年から進める方針を示しました。
この「夏季休工」制度は、真夏の1~2か月程度、建築・土木の現場作業を一時中断するというもので、すでに関東地方整備局の一部で試験的に導入されており、概ね好意的な評価を得られています。もちろん、工期の延長やコストの増加といったデメリットはあるものの、労働者の命と健康を守るといった観点から見れば、十分に検討すべき取り組みであると思われます。また、道路工事については、熱のこもりやすい猛暑期間を避けた方が、作業効率が上がるといったメリットもあります。
まずは国や自治体が発注する公共工事を対象に制度が導入される予定です。
建設業界では慢性的な人手不足が続いていますが、猛暑下での厳しい作業環境が敬遠される一因であるため、この「夏季休工」が労働環境の改善につながり、業界全体の持続性を高めるきっかけとなる可能性があります。少なくとも、日中の最も気温が高い時間帯を避けて作業を行うなどの柔軟な対応が求められている時代に来ていることは間違いありません。
これまでの常識や慣習にとらわれるのではなく、猛暑が常態化している今、社会全体で夏の働き方を見直す必要があるのではないでしょうか。
2025年10月07日 12:50