猛暑と労働生産性
9月に入っても厳しい暑さが続いていますが、8月22日に世界保健機構(WHO)と世界気象機関(WMO)は、猛暑が労働者に及ぼす健康に関する共同報告書を発表しました。現在、日本だけではなく世界的な規模で、地球温暖化による熱波により、多くの労働者が危険に晒されています。50年にわたる研究を基に出された報告では、屋外で働く労働者だけでなく、屋内の労働者にも健康被害のリスクが高まっており、そのリスクには、よく知られている熱中症や脱水症状以外にも、腎機能障害や神経障害なども含まれているとのことでした。
共同報告書によると、気温が20℃を超えると、1℃上昇するごとに労働者の生産性が2~3%ダウンし、世界の労働人口の約7割に当たる24億人以上の労働者が、過度の暑さに晒されていて、毎年2285万人が熱中症などの被害に遭っているとのことです。
また、別のインドの調査では、エアコンがない環境では、1週間のうち35℃以上の日が1日増えるだけで、生産性が4~8%落ちるといった報告もあります。暑さは、冷房の効いた室内で作業する労働者にも影響を及ぼし、暑い日が続くと欠勤率が上昇するため、やはり生産性が低下してしまうそうです。
このような状況を踏まえ、WHOとWMOは、暑さへの対策は個人や一企業だけで行うのは難しいとし、官民が連携して対策を策定・実施する必要があると提言しています。
2025年09月02日 12:52