副業・兼業労働者の割増賃金ルールの見直し
政府はこれからの労働力不足を解消する策として、副業や兼業を推進していますが、なかなか進まない原因の一つに、所定労働時間を超えた分の割増賃金の発生をどうのように処理するかといったことがあります。現在、本業の労働時間と副業・兼業の労働時間を通算して、後から契約を締結した副業先がオーバーした分の割増賃金を支払うパターンが多いかと思います。そのため、例え副業先での労働時間が短くても、通算の所定労働時間を超えていれば、36協定を結び通常より多く賃金を払う必要が出てきます。また、同時に労働時間の管理が、複数社あるため煩雑になってしまいます。
そういったことからも、副業の労働者を雇い入れることに躊躇する会社も多く、本業の方も同じように労働時間の管理の問題から、禁止している会社も多くあります。
そういった企業側の負担を減らすため、厚生労働省の研究会では、現在のルールの見直しを検討しています。副業や兼業に取り組みやすい環境を整えることを目的として、割増賃金について通算の労働時間の管理を廃止する案が出されています。
しかし、廃止してしまうと、場合によっては長時間労働となり、労働者の健康を損なうおそれがあるため、月単位や年単位で管理する必要はありますし、新しい割増賃金の支払い方法などの取り決めも必要になります。
近いうちに今後のルールについてまとめた報告書が、厚生労働省から提出される予定です。
2025年01月09日 12:49